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日本史が好きになる?歴史ブログ

このブログを見て、少しでも歴史を好きになるお手伝いができれば良いと思います。

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銃・病原菌・鉄

 

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
 

少し前に「鉄」に関する記事を書いて少々興味がわいたため、読んだ本です。銃と鉄、病原菌について書かれているかと思いましたが、端的に言えば「西欧の優勢が環境によるものであって人種の優劣の違いではない」ことが主に書かれていました。

 

日本史とかけ離れているようにも見えますが、少々面白い視点もこの本で読んで見えてきたので少しばかり触れていきたいと思います。

 

 

まず、現在のような「富の不均衡」がなぜ起きたのか?今現在一般的に(経済的に)豊かな国といえば、欧州に北米、そして東アジアに集中しています。

 

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地図を見ればこれらの豊かと言われる国は、ほぼ同じ緯度にあることに気が付くことでしょう。そして、アメリカ大陸は欧州からの移民が現在の繁栄を作り出したので省きますが、欧州も東アジアもユーラシア大陸の一部です。

 

 

話は変わりますが、食物生産を自発的に作り出した地域は数える程度しかありません。なぜ、自発的に食物生産を行えたのか?結局は土壌や水、食用に出来てなおかつ生産可能な動植物の存在があったため、とされています。

 

これらの食物生産を行っていた地域では蓄えが出来るようになり、格差も生まれます。また、それと同時に農耕や家畜を育てるための技術が発展するでしょう。

 

特に農耕をする際には豊かな土地やある程度水源が必要な上に定住するという事で、それまで狩猟採集で生計を営んでいた人々や、より良い土地を求めて既に定住していた人々を追い出すための手段も必要になってきます。そうなると、強くなるためにより複雑な組織を運営することも出てくることが考えられます。所謂、文明が発生します。移動しながら緩やかな農業を営んでいた民族もいたようですが。

 

 

余談ですが、マンモスが絶滅したのが「農耕が始まったから」なんて説もあるそうです(狩猟する際には後のことを考えて多少動物を残していたけど、別の食糧獲得手段ができるといなくなっても問題ないだろう、との考えからきているそう)。こちらは別の書籍から。

 

 

更に、家畜を育てることで大きな問題も出てきました。それが病気です。例えば、人に感染するインフルエンザウィルスは鳥類由来です。また、天然痘はその高い感染力と致死率から国や民族を滅ぼす遠因となりましたが、このウィルスもまた牛や馬といった家畜由来の物になります。

 

これらの文明病原菌が伝播しやすい地理的環境にあったのがユーラシア大陸だったそうです。直接家畜を飼っていなくても、周辺地域からの文明を受け入れ人の行き来が活発になると当然病気も蔓延します。

 

要約すると、文明を持つ一歩有利に立った状態、且つ長い時間をかけて免疫が出来た人々が病原菌(と銃)を新天地に持って行ったことで支配した結果が、現在の富の不均衡に繋がったという感じのことが書かれていました。

 

 

 

以前、日本史の大まかな流れ その2 - 日本史が好きになる?歴史ブログで書いた疫病も天然痘(もしくは麻疹)の可能性が高いと言われています。

 

日本では、農耕に加えて狩猟採集をほぼ同時進行のような形で行っていたと考えられている中で何故病原菌が入ってきたのか?やはり、人の行き来が原因です。

 

中国では495年に天然痘と思われる病が流入しその後流行。朝鮮半島にも6世紀前半に流入。となれば、日本に入ってくるのも当然時間の問題です。

 

想像の通り、6世紀半ばには日本でも流行します。丁度、仏教の教えが伝来した頃と重なっていることから「日本古来の神様が怒っている」ために流行ったのだとされ、当時仏教の受け入れを熱心に薦めた蘇我氏の影響力が低下する事態が起きました。

 

その後も度々起こる流行のたびに、権力者も天然痘にかかったりして政治が揺らぐ時期もあったそうです。なお、奈良の大仏を作る遠因の一つに天然痘の流行が挙げられます(奈良時代と言えば藤原不比等の息子・藤原4兄弟の天然痘による死亡が有名)。

 

天然痘の他に肺結核でも著名人が亡くなっていますが、こちらもまた家畜由来かと思われる節があります。卑弥呼の時代に流入し、江戸時代爆発的に増加しました。

 

 

 

さて、何が言いたいのかと申しますと、日本史を学ぶ際は世界史とも連動しているという点と歴史を学ぶ際に地理を学ぶことも重要だよと言う点です。

 

正直、地理的環境が歴史にも影響していることは分かっちゃいましたが、日本は昔からの先進国(中国の歴代王朝)が程良い距離にあるから程度。文明の伝播しやすい場所をそこまで大きな視点で捉えることはありませんでした。

 

本著は「壮大なスケールで書かれた仮説」なんてことがアマゾンのレビューで書かれていたりしましたが、そんな壮大なスケールから物事を見るなんてことがなかったので個人的に面白いなと思いまして。

 

翻訳される前の原著では日本についても触れられているようなのですが、翻訳版では多少書かれているものの、そんなにガッツリは触れられていなくて残念。他国(そこまで利害の関係ない国)の人が書いた日本史にもいずれ触れてみたいなと思うこの頃です。