日本史が好きになる?歴史ブログ

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日本史を学ぶ意味を教えてくれる東大の日本史の問題

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歴史の試験勉強を、試験前に一夜漬けで丸暗記をした記憶を思い出す人も多いことでしょう。

1603年、徳川家康征夷大将軍となり江戸に幕府を開く、と言うように当時は必死に覚えたことでしょう。そんな中で、【こんなこと覚えて社会に役に立つのか?】と言う疑問を持ちながら勉強をした人も少なくないでしょう。

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そんな学生時代の疑問の答えが東大の日本史の入試問題にありました。

 

私たちが良く見かける歴史の問題では、

 

問題1

討幕の密勅を薩長両藩に渡した公家は誰か?

 

などの一問一答の問題が多くでていました。これが、空欄問題か○×問題かの違いだけだったような気がします。

※答えは岩倉具視

 

しかし、東京大学の日本史の入試問題が、【なぜ歴史を学ぶのか?】と言った疑問の答えになっているような問題なのです。

 

では、実際にその問題を見てみましょう。 

 

【問題】

1882〜1883(明治15〜16)年、伊藤博文らは、ドイツをはじめヨーロッパ諸国において、憲法や立憲的諸制度の調査にあたった。その際、彼等はしばしばドイツの政治家や学者などから、明治維新以来日本政府が進めてきた改革は余りに急進的であり、日本がいま立憲制度を取り入れようとするのは、必ずしも賢明なこととはいえない、とする忠告を受けたといわれる。
そこで、諸君が伊藤博文らの調査団に加わっていたと仮定し、上述のようなドイツ側の忠告に対して、日本として立憲政治を取り入れる必要があることを説明する文章を8行(記者注:240字)以内で記せ。

 

 

小・中・高通して歴史のこのような問題に出会ったことがあった人はいるだろうか?

もし、出会ったことがある人は実に幸運な人だと思います。この問題でのポイントは、【諸君が伊藤博文らの調査団に加わったと仮定し】です。この問題は、根本的な知識と思考能力を併せて量ると言う実に面白い問題です。

 

まず、この問題を解くには当時の歴史的背景を頭に入れておかなければ解けません。

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1889年(明治22年)、立憲制度を取り入れた大日本帝国憲法が発布されました。五箇条の誓文で新政府の方針が示されたわずか20年ほどたったことの出来事でした。

rekishi-note.hatenablog.com

 

当時、非ヨーロッパ国では、オスマン帝国が初の憲法を制定しましたが、拙速であったがゆえに機能せず、わずか2年で憲法停止の事態に追い込まれました。そのことを踏まえて、【ドイツの政治家や学者】が日本に対して【憲法制定はあまりにも急進的】と忠告したのも無理のない話なのです。

 

それでも明治政府が立憲制度の確立を目指したのは、幕末に結んだ不平等条約の改正と言う国際的な理由がありました。日本が各強国と主権国家体制における対等な立場として認められるには、近代国家の体制を整えることが求められるのです。

領事裁判権の撤廃をするには、憲法を中心に近代的法制度の整備が必要条件なのです。

そんな理由から、明治政府は憲法制定を急いだのです。

 

国内的事情を見てみると、自由民権運動が活発化して、民権派による憲法の試案である私擬憲法の発表も相次いでいました。伊藤博文を中心とする薩長藩閥政治としては、憲法制定派に主導権を渡すわけにはいきません。また、1881年(明治14)には、国会開設の勅諭を発して、1890年(明治23)の議会開設を約束していたため、それまでには憲法の制定をする必要があったのです。

 

そこで君主権の強いドイツの憲法をモデルにと考えたのです。明治政府は、天皇と政府に強い権限を与える憲法を制定して、民権派の動きを抑え込もうとしたのです。

 

 

 

このような歴史的背景を踏まえて、【もし、自分が調査団に加わっていたら】と言う仮定で240字以内にまとめることが必要なのです。

 

ある史実が生じた理由やその意義を資料分などを与えながら論述形式で問う東大の日本史の入試は、空欄問題や○×問題とは違い、付け焼刃の知識と記憶では解くことができず、受験生の歴史の理解力を試すには適切な問題でしょう。

 

このように、さまざまな要素を考慮して最適解を探ることは、歴史に限らず、現代社会を生き抜くために基本原則です。過去における先人や判断や行動は、失敗も含めて私たちのモデルケースになります。

 

 

むしろ、歴史の勉強は社会に役に立たないどころか、むしろ社会人になってからより深く理解することができ、現在と未来に対して大いに役に立つ学問なのではないのでしょうか?